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肥満症に関するよくある質問をご紹介します。よくある質問を参考にして、肥満症についてのお悩みは病院へ相談してみましょう。
 
 

 

 

肥満症について

Q肥満症かもと思うことがあります。肥満と肥満症の違いを教えてください。


「肥満」は体脂肪が過剰に蓄積した状態を指し、主にBMI25以上で判定されます。一方「肥満症」は、肥満に加えて高血圧や糖尿病、脂質異常症などの健康障害を伴っているか、将来起こるリスクが高く、医学的に減量が必要と診断される病気です。太っていること自体がすぐに病気というわけではなく、健康への悪影響の有無が両者の重要な違いになります。

肥満症診療ガイドライン2022 P8-10

Q日本人の肥満の基準(BMI)を教えてください。


日本ではBMI25以上が「肥満」と判定されます。欧米の基準より低い理由は、日本人が比較的軽度の体重増加でも糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症しやすいためです。なお、統計的に最も病気にかかりにくいとされる理想的な標準体重は、BMI22と設定されています。

肥満症診療ガイドライン2022 P8
Tokunaga K, et al. Int J Obes. 1991;15:1-5.

Q内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満では、どちらが危険ですか?


一般的に注意が必要なのは内臓脂肪型肥満です。内臓脂肪は代謝に悪影響を与えやすく、糖尿病や高血圧、脂質異常症などを引き起こしやすいことが知られています。皮下脂肪型肥満は見た目の変化が目立ちますが、内臓脂肪に比べると生活習慣病との関連は弱いとされています。

Fujioka S, et al. Contribution of intra-abdominal fat accumulation to the impairment of glucose and lipid metabolism in human obesity. Metabolism. 1987;36(1):54-9

Q肥満症になりやすい体質や遺伝はありますか?


肥満症には遺伝的な要因や体質も関与しますが、それだけで決まるわけではありません。食欲を調節するホルモンや脳の働き、基礎代謝の個人差に加え、睡眠不足やストレス、食環境といった生活環境要因が複雑に重なって発症します。そのため、本人の努力や意志だけでは説明できない場合が多くあります。

Locke AE, et al. Genetic studies of body mass index yield new insights for obesity biology. Nature. 2015;518(7538):197-206

Q肥満は自己責任だと言われました。本当ですか?


現在の医学では、肥満や肥満症を単なる自己責任と考えることは適切ではないとされています。肥満症はホルモン、脳の食欲調節機能、ストレス、社会環境など多くの要因が関与する慢性疾患です。「自己管理の問題」と捉えてしまうと、適切な治療や支援を受ける機会を逃す可能性があります。

Rubino F, et al. Joint international consensus statement for ending stigma of obesity. Nat Med. 2020;26(4):485-497


 

合併症・健康リスクについて

Q肥満症を放置すると、どのような病気になりやすいですか?


肥満症を放置すると、糖尿病、高血圧、脂質異常症などが進行しやすくなります。さらに心筋梗塞や脳卒中、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、関節疾患など、全身にわたってさまざまな健康障害を引き起こすリスクが高まる可能性があります。

Guh DP, et al. The incidence of co-morbidities related to obesity and overweight. BMC Public Health. 2009;9:88

Q高血圧や心筋梗塞などの心疾患も肥満症と関係していますか?


はい、深く関係しています。肥満症では内臓脂肪の蓄積によって動脈硬化が進行しやすくなり、その結果として、高血圧や心筋梗塞などの心血管疾患の発症リスクが顕著に高まることが分かっています。

Hubert HB, et al. Obesity as an independent risk factor for cardiovascular disease: a 26-year follow-up of participants in the Framingham Heart Study. Circulation. 1983;67(5):968-77.

Qお酒を飲まないのに「脂肪肝」と言われました。これも肥満のせいですか?


飲酒習慣がなくても、肥満や代謝異常が原因で脂肪肝になることがあります。現在は「代謝異常関連脂肪性肝疾患」と呼ばれており、内臓脂肪の蓄積やインスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)との関連が強く指摘されています。健康診断で定期的に脂肪肝の有無を確認することが大切です。

Younossi ZM, et al. Global epidemiology of nonalcoholic fatty liver disease. Hepatology. 2016;64(1):73-84

Q肥満が原因の「睡眠時無呼吸症候群」はなぜ危険なのですか?


肥満があると首や喉の周囲に脂肪が蓄積し、睡眠中に気道が狭くなって呼吸が何度も止まる「睡眠時無呼吸症候群」を起こしやすくなります。呼吸が止まるたびに体が低酸素状態となり血圧や心拍数が上昇するため、長期的には心血管疾患のリスクを高めます。また、日中の強い眠気により交通事故や労働災害のリスクが高まる点も深刻な問題です。

Peppard PE, et al. Longitudinal study of moderate weight change and sleep-disordered breathing. JAMA. 2000;284(23):3015-21

Q体重が重いと、膝や腰などの関節にどのような影響が出ますか?


体重が増えると、体を支える膝や腰の関節に常に大きな負荷がかかります。この状態が長期間続くことで関節の軟骨がすり減りやすくなり、変形性膝関節症や腰痛などを引き起こす原因になります。痛みによって活動量が低下すると、さらに体重が増えやすくなる悪循環に陥るため、体重管理は関節の健康維持にも重要です。

Messier SP, et al. Effects of intensive diet and exercise on knee joint loads, inflammation, and clinical outcomes among overweight and obese adults with knee osteoarthritis. JAMA. 2013;310(12):1263-73.

Q「メタボリックシンドローム」と肥満症は何が違うのですか?


メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を基盤として高血糖・高血圧・脂質異常が重なった状態を指し、健康診断などで将来の心血管疾患リスクを早期に見つけるための概念です。一方、「肥満症」は、肥満に加えて高血圧や糖尿病、脂質異常症などの健康障害を伴っているか、将来起こるリスクが高く、医学的に減量が必要と診断される病気です。

Alberti KG, et al. Harmonizing the metabolic syndrome. Circulation. 2009;120(16):1640-5

Q肥満が「がん」のリスクを高めるというのは本当ですか?


多くの研究において、肥満は大腸がん、乳がん、子宮体がんなど特定のがんの発症リスクを高めることが示されています。これには、肥満による慢性的な炎症やホルモンバランスの変化が関与していると考えられています。

Lauby-Secretan B, et al. Body Fatness and Cancer - Viewpoint of the IARC Working Group. N Engl J Med. 2016;375(8):794-798.

Q肥満症は月経異常や女性不妊に影響しますか?


肥満症ではホルモンバランスが乱れやすくなるため、月経異常や排卵障害を引き起こすことがあります。その結果として妊娠しにくくなる場合もあるため、適切な体重管理は女性の健康維持において非常に重要とされています。

Pasquali R, et al. Obesity and reproductive disorders in women. Hum Reprod Update. 2003;9(4):359-72.


 

診断・検査について

Q病院では、どのような検査をして「肥満症」と診断しますか?


まず身長と体重からBMIを算出し、肥満に該当するかを確認します。その上で、血圧測定、血液検査(血糖や脂質など)、腹囲測定を行い、健康障害の有無を評価します。必要に応じて超音波やCT検査で内臓脂肪を確認することもあり、単なる体重だけでなく、健康への影響を総合的に判断して診断されます。

肥満症診療ガイドライン2022 P8-17

Q健康診断の結果で、どの項目に注意すればよいですか?


BMIや腹囲に加えて、血圧、血糖値、HbA1c、中性脂肪、HDLコレステロールの数値に注意が必要です。これらの項目に軽度でも異常が複数重なっている場合、将来的に肥満症や生活習慣病へ進展する可能性があるため、早めの生活改善や医療相談が勧められます。

Kadowaki T, et al. Metabolic syndrome definition and diagnostic criteria in Japan. J Atheroscler Thromb. 2008;15(1):1-5.

Q肥満症の診察は何科を受診すればよいですか?


肥満症は、一般内科、糖尿病・内分泌内科、循環器内科などで診療されることが多い疾患です。地域や医療機関によっては専門の「肥満外来」が設けられている場合もあります。まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう形が一般的です。

日本肥満学会「肥満症専門医制度」および厚生労働省「医療提供体制(かかりつけ医制度)」に基づく実務指針

Q「高度肥満症」とは、どのような状態を指しますか?


高度肥満症とは、BMI35以上の肥満に加えて、肥満に関連する健康障害をすでに伴っている状態を指します。通常の肥満症よりも様々な健康障害を抱えやすい状態で、より専門的かつ多面的な治療介入が必要とされます。

肥満症診療ガイドライン2022 P82-82

Q検査にかかる費用や時間はどのくらいですか?


初診時の検査は、一般的な血液検査や身体測定が中心となります。費用や所要時間は医療機関によって異なりますが、多くは健康診断と同程度の範囲で行われます。

肥満症診療ガイドライン2022に基づく臨床指針

Q肥満症治療に費用をかけるメリットは?


肥満症を根本から治療することで、糖尿病や高血圧など複数の健康障害を同時に改善できる可能性があります。将来的な総医療費の負担軽減や生活の質(QOL)の向上を考慮すると、早期に適切な治療を行うことは合併症の予防や、長期的な健康維持に直結します。

Cawley J. An Economy of Scales: A Selective Review of Obesity's Economic Causes, Consequences, and Solutions. J Health Econ. 2015;43:244-268.

Q肥満症の相談を周りに知られたくありません。


肥満症は個人のプライバシーに関わるデリケートな健康問題です。医療機関には厳格な守秘義務があり、本人の同意なく情報が共有されることはありません。また、オンライン診療を活用するなど、周囲に知られず無理のない形で相談を開始することも可能です。

個人情報保護法および厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」


 

治療について

Q肥満症の治療にはどのような選択肢がありますか?


肥満症治療は、食事療法、運動療法、行動療法を基本の柱とし、必要に応じて薬物療法や外科手術が検討されます。個人の健康状態や生活背景に合わせて、段階的かつ包括的に治療が提供される点が特徴です。

Wadden TA, et al. Lifestyle modification for obesity: new developments in diet, nutrition, and pharmacotherapy. Circulation. 2012;125(9):1157-70.

Q肥満症の治療にはどのような薬が使われますか?


日本では、肥満症の病態や重症度に応じて、医師の判断で薬物療法が検討されます。GLP-1受容体作動薬など食欲の調節や代謝に作用する薬剤があり、基本的には食事や運動などの生活習慣改善と併用して用いられます。

Müller TD, et al. Anti-obesity drug discovery: advances and challenges. Nat Rev Drug Discov. 2022;21(3):201-223.

Q保険適用で治療を受けるための条件はありますか?


公的医療保険を適用するためには、BMIの基準値や合併症の有無、医療機関など、最適使用推進ガイドラインに定められた基準を満たす必要があります。適応の詳細は個別の状態によって異なるため、担当の医師と直接相談する必要があります。

厚生労働省「最適使用推進ガイドライン」

Q運動が苦手なのですが、必ず激しい運動が必要ですか?


必ずしも激しい運動が求められるわけではありません。例えば、歩数を増やすなど日常生活での身体活動量を少しずつ引き上げるだけでも、運動療法の一つとして十分な健康改善効果につながることが分かっています。

Swift DL, et al. The role of exercise and physical activity in weight loss and maintenance. Prog Cardiovasc Dis. 2014;56(4):441-7.

QGLP‑1受容体作動薬は副作用がありますか?


治療の初期に、吐き気や食欲低下などの消化器症状がみられることがあります。多くの場合これらの症状は一時的ですが、安全に使用するためには必ず医師の継続的な管理下で治療を行うことが重要です。

Wilding JPH, et al. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity. N Engl J Med. 2021;384(11):989-1002.

Q外科手術(減量手術)を検討するのは、どのような場合ですか?


高度肥満症(BMI35以上)の患者さんで、長期間の内科的治療を行っても十分な減量や健康改善効果が得られない場合、またBMI32以上の2型糖尿病で、内科的治療で改善が見られない場合なども、外科療法が検討されます。専門施設での慎重な適応評価が必要です。

Schauer PR, et al. Bariatric Surgery versus Intensive Medical Therapy for Diabetes - 5-Year Outcomes. N Engl J Med. 2017;376(7):641-651

Q美容クリニックなどの「GLP-1ダイエット」と、肥満症治療は何が違うのですか?


肥満症治療は「疾患としての診断と長期的な健康管理」を目的に医療として行われます。一方、自由診療のダイエットは体重減少のみを目的とする場合が多く、医学的なリスク評価や継続管理の点で大きく異なります。

日本糖尿病学会・日本肥満学会 合同ステートメント

Q肥満症治療でどのくらい痩せればよいですか?


日本肥満学会では、肥満症の減量目標を現体重から3%以上、高度肥満症において5-10%以上にそれぞれ設定しています。

肥満症診療ガイドライン2022 P52

QGLP‑1受容体作動薬の注射は痛いですか?


注射には非常に細く短い針を使用するため、多くの方が強い痛みを感じにくい設計になっています。ただし、痛みの感じ方には個人差があります。

Ercan N, et al. Patient Preference and Pain Perception in using Pentype Devices. Diabetes Technol Ther. 2019.

Q肥満症治療を希望する際、医師に伝えるべきことは?


体重が変化してきた経緯、過去のダイエットや治療歴、現在の生活リズム、そして今最も困っている健康上の問題を共有することで、医師もより適切で個別化された治療方針を立てやすくなります。

肥満症診療ガイドライン2022 P63-69


 

生活習慣について

Qリバウンドを防ぐために、治療で気をつけることはありますか?


急激な減量を避け、無理のないペースでの体重管理と生活習慣の改善を定着させることが極めて重要です。また、自己判断で通院をやめず、定期的な医学的フォローアップを継続することもリバウンド防止に有効です。

Wing RR, Phelan S. Long-term weight loss maintenance. Am J Clin Nutr. 2005;82(1 Suppl):222S-225S.

Qお腹が空いていないのに食べてしまいます。意志が弱いせいでしょうか?


空腹感と実際の食行動は必ずしも一致しません。ストレスや長年の習慣により、脳の報酬系(食欲調節機能)が影響を受けていることが医学的に分かっており、単なる個人の意志の問題ではありません。

Volkow ND, et al. Obesity and addiction: neurobiological overlaps. Obes Rev. 2013;14(1):2-18.

Q食べ過ぎを防ぐためのダイエット方法や具体的なコツはありますか?


よく噛んで食べる速度を意図的にゆっくりにする、スマホを見ながらの食事をやめて環境を整えるなどの工夫が、脳の満腹中枢を刺激し、空腹感、食べ過ぎの防止につながると推奨されています。

Boutelle KN, et al. Ecological momentary assessment of the relationship between cues and cravings. Appetite. 2015.

Qストレスが溜まると、なぜ体重が増えやすくなるのですか?


ストレスを感じることでホルモン分泌や自律神経のバランスが乱れ、それが過食衝動を引き起こしたり、代謝を低下させて脂肪を蓄積しやすくしたりするためです。

Epel E, et al. Stress may add bite to appetite in women: a laboratory study of stress-induced cortisol and eating behavior. Psychoneuroendocrinology. 2001;26(1):37-49.

Q睡眠不足がダイエットの敵と言われるのはなぜですか?


睡眠不足状態に陥ると、食欲を抑えるホルモンが減少し、逆に食欲を増進させるホルモンが増加するため、無意識のうちに過食につながりやすくなることが報告されています。

Taheri S, et al. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Med. 2004;1(3):e62.

Q食べること以外でストレスを解消する方法が見つかりません。


軽い散歩、入浴、趣味への没頭など、食以外の行動で気分転換を図ることは「行動療法」という立派な治療の一環として推奨されています。まずは手軽にできることから探してみることが大切です。

肥満症診療ガイドライン2022 P63-69

 

 

肥満症について相談できる医療機関

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肥満症には体重を減らすための様々な治療があります。肥満症で悩んでいる場合は、病院に相談してみましょう。

 

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