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肥満・肥満症とMASLD/MASHの関係とは?

肥満症は、BMI 25以上の肥満で「肥満症の診断に必要な健康障害」の合併がある場合に診断されます¹⁾ 。非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) は、その「肥満症の診断に必要な健康障害」のうちの一つです。最近、NAFLDは代謝機能障害関連脂肪性肝疾患 (MASLD) へと名称が変更されました。
ここでは、MASLDとMASLDの一種である代謝機能障害関連脂肪肝炎 (MASH) について、肥満・肥満症との関係も含め、ご紹介します。

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NAFLD/NASHとMASLD/MASHは同じ病気?

MASLD/MASHは以前、NAFLD/NASH (非アルコール性脂肪肝炎) と呼ばれていました。

NAFLD/NASHはそれぞれ、non-alcoholic fatty liver disease/non-alcoholic steatohepatitisの略称ですが、 “alcoholic”や“fatty”などの偏見を生む単語が含まれていたため、2023年に海外の学会で新しい診断基準と名称が発表されました。その新しい名称が、MASLD/MASH (metabolic dysfunction associated steatotic liver disease/metabolic dysfunction associated steatohepatitis) です²⁾ 。日本ではそれぞれ、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患/代謝機能障害関連脂肪肝炎と呼ばれています³⁾ 。

NAFLD/NASHとMASLD/MASH、名称が違うため、別物のように思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それぞれの病気の進み方や病状などはほとんど一致しているといわれており、 NAFLD/NASHとMASLD/MASHは同じものと考えても問題ないとされています⁴⁾ 。
本コンテンツでは、NAFLD/NASHの記載は、新しい名称であるMASLD/MASHに置き換えてご説明します。

MASLD/MASHはどんな病気か?

ここからは、MASLD/MASHがどんな病気なのかをご説明します。
「脂肪性肝疾患」が名称に含まれているように、MASLDでは「脂肪肝」が認められます。脂肪肝とは、肝臓に余分な脂肪が蓄積した状態を指します。
脂肪肝になる原因はさまざまですが、飲酒量 (純エタノール量)が男性30g/日未満、女性20g/日未満で、肥満・糖代謝異常 (糖尿病) ・脂質異常症・高血圧などの代謝バランスの乱れを背景に起こる脂肪肝のことをMASLDといいます⁴⁾ 。さらに、MASLDの一部は、炎症と肝線維化がみられるMASHへと進行することがあります。MASHはMASLDの一種であり、MASHになり、肝線維化が進行すると、将来的に肝硬変や肝がんを発症するリスクがあります⁵⁾  。

肥満の予防と早期介入を妨げる障壁とその要因とは?


Miller DM et al.:Endocrinol Diabetes Metab 8(6):e70132, 2025 より改変 [https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/]

MASLD/MASHと肥満・肥満症との関係

「肥満症の診断に必要な健康障害」の一つであるMASLD、そしてMASH。
肥満・肥満症との関係について、もう少し詳しくご紹介します。

先ほどご説明したように、MASLDは代謝バランスの乱れを背景に発症する脂肪肝であり、飲酒習慣がない、または飲酒量が少ない中で、肥満・糖代謝異常 (糖尿病) ・脂質異常症・高血圧などの合併が1つ以上ある場合に、MASLDと診断されます。
実際に、MASLD は肥満のある方で多くみられます。日本で行われた研究では、健診を受診した71,254名の方のうち、 BMI 25未満で15.0%、25以上30未満で59.0%、30以上で81.3%の方がMASLDであったと報告されています⁶⁾ 。世界的にも肥満の増加を背景として、今後、MASLD患者さんは増えることが予想されています⁷⁾。
また、 MASLDの診療について記載されているガイドラインでは、肥満およびその重症度とMASLDの進行は関連しているといわれており⁸⁾ 、MASLD/MASHと肥満、そして肥満症には関係性があることが分かります。MASHはMASLDが進行した状態ですが、MASLDの進行には肥満が関連することを考えると、肥満のある方や肥満症の患者さんは肝臓の状態にも目を向けて、健康管理を行うことが必要です。

MASHについて、さらに知るためには

MASLD/MASHの初期はこれといった痛みや自覚症状があらわれにくく、ご自身では気が付かない間に肝硬変や肝がんへと進行してしまうこともあります⁵⁾。
そのため、肝臓やMASLD/MASHについての正しい知識を身に着け、早い段階で肝臓の状態を把握し、状態に合わせた適切な対応をとることが大切です。

こちらのページでは、より詳しくMASHについてご説明しています。MASHについて、さらに知りたい方はぜひご覧ください。

 

 

 

参考資料
 
  1. 肥満症診療ガイドライン2022 :日本肥満学会ウェブサイトより (https://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medicareguide2022_05.pdf) (最終アクセス2026年3月)
  2. 再掲 NAFLDの名称と分類法の変更について:日本消化器病学会ウェブサイトより
    (https://www.jsge.or.jp/news/20231121/) (最終アクセス2026年3月)
  3. 脂肪性肝疾患の日本語病名に関して:日本消化器病学会ウェブサイトより
    (https://www.jsge.or.jp/news/20240820-3/) (最終アクセス2026年3月)
  4. 日本消化器病学会・日本肝臓学会 編:MASLD診療ガイドライン 2026 (改訂第3版)-代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
    南江堂:P2-3, 2026
  5. Miller DM et al.:Endocrinol Diabetes Metab 8(6):e70132, 2025
  6. Fujii H et al.:Hepatol Res 53(11):1059-1072, 2023
  7. Wong VW et al.:J Hepatol 79(3):842-852, 2023
  8. 日本消化器病学会・日本肝臓学会 編:MASLD診療ガイドライン 2026 (改訂第3版)-代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
    南江堂:P33, 2026

よくある質問

Qお酒を飲まないのに「脂肪肝」と言われました。これも肥満のせいですか?


飲酒習慣がなくても、肥満や代謝異常が原因で脂肪肝になることがあります。現在は「代謝異常関連脂肪性肝疾患」と呼ばれており、内臓脂肪の蓄積やインスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)との関連が強く指摘されています。健康診断で定期的に脂肪肝の有無を確認することが大切です。

Younossi ZM, et al. Global epidemiology of nonalcoholic fatty liver disease. Hepatology. 2016;64(1):73-84

Q健康診断の結果で、どの項目に注意すればよいですか?


BMIや腹囲に加えて、血圧、血糖値、HbA1c、中性脂肪、HDLコレステロールの数値に注意が必要です。これらの項目に軽度でも異常が複数重なっている場合、将来的に肥満症や生活習慣病へ進展する可能性があるため、早めの生活改善や医療相談が勧められます。

Kadowaki T, et al. Metabolic syndrome definition and diagnostic criteria in Japan. J Atheroscler Thromb. 2008;15(1):1-5.

Q肥満症の診察は何科を受診すればよいですか?


肥満症は、一般内科、糖尿病・内分泌内科、循環器内科などで診療されることが多い疾患です。地域や医療機関によっては専門の「肥満外来」が設けられている場合もあります。まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう形が一般的です。

日本肥満学会「肥満症専門医制度」および厚生労働省「医療提供体制(かかりつけ医制度)」に基づく実務指針

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