肥満症治療はいつ終わるの?ゴールと変化をわかりやすく解説
肥満症の治療に不安や戸惑いを感じることはありませんか?肥満症治療薬の投薬前から治療終了後までに起こる心と体の変化を時系列で整理し、治療の見通しや前向きに続けるためのポイントをわかりやすく解説します。
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テレワーク中、気づけば何時間も座りっぱなしになっている——そんなことはありませんか。仕事や買い物など、色々なことがオンラインで済むようになった今、以前よりも“動かない時間”が長くなっている方もいるでしょう。
実は、この“動かない時間=座りすぎ”は肥満症治療の妨げとなる可能性があります。「運動する時間がない」という方でも、まず見直せるのが座っている(座位)時間です。今回は、なぜ座りすぎが体に影響するのか、そして今日から始められる対策についてご紹介します。
肥満症治療薬による治療を始めると、「薬を使っているから大丈夫」「食事に気をつければ十分」と考えたくなるかもしれません。しかし、日常生活の中に潜む“座りすぎ”は、治療効果を十分に引き出すうえで見過ごせない問題です。
座位行動は、運動不足とは別の独立した健康リスクであることがわかっています。たとえば、週数回、運動している方でも、それ以外の時間をほとんど座って過ごしている場合には代謝への悪影響が生じる可能性があります。海外のある研究では、たった1日座り続けるだけでインスリン感受性が約39%低下したことが報告されています。現代の生活環境は、私たちを自然と座らせる方向へと進化しています。だからこそ、意識的に“座らない時間”を増やすことが重要といえるでしょう。
長時間座り続けると、まず太ももやお尻などの大きな筋肉の活動が低下します。筋肉は血糖を取り込む重要な組織ですが、動かなければその働きも鈍くなります。その結果、血糖値や中性脂肪が上昇しやすくなり、肥満や糖尿病のリスクにつながります。さらに、座位時間が長い人ほどメタボリックシンドロームのリスクが高くなることも報告されています²⁾。
また、長時間座り続けることで血流が滞りやすくなり、疲労感の増加や認知機能の低下につながる可能性があります。体を動かさない状態は単に消費カロリーが減るだけでなく、全身の代謝機能そのものに影響を与えます。肥満症治療中は、こうした代謝への影響をできるだけ小さくすることが大切です。

実は日本人の座位時間は、世界的に見ても長いことが知られています。シドニー大学などによる20か国調査では、日本人成人の平均座位時間は世界最長であることが明らかになりました³⁾。
また、平成25年国民健康・栄養調査では、平日に8時間以上座っている人は男性約38%、女性約33%と報告されています⁴⁾。仕事だけでなく、通勤・食事・テレビ・スマートフォンの使用などを合計すると、多くの人が想像以上に長時間座っていることになります。まずは「自分は1日何時間座っているのか」を把握することから始めてみましょう。
肥満症治療薬が効果を発揮している期間は、体の代謝が改善へと向かうタイミングでもあります。この時期に座位時間を減らすことで、薬の効果との相乗作用が期待できます。
京都府立医科大学による約6万人を対象とした研究では、余暇時間の身体活動量にかかわらず、座位時間が長いほど健康リスクが高まることが示されています⁵⁾。つまり、週末だけ運動するだけでは十分ではなく、毎日の生活の中で座る時間を減らすことも重要なのです。
肥満症治療薬による治療は、体重を減らすだけでなく、将来の健康習慣をつくる期間でもあります。薬が効いている今こそ、新しい行動を身につけやすいタイミングといえるでしょう。
「座りすぎを減らしましょう」と言われても、何から始めればよいかわから ない方も多いでしょう。今日から実践できる5つの方法をご紹介します。
① 30分に1回、立ち上がる
最も手軽なのが、30分ごとに立つことです。スマートフォンのアラームを活 用し、鳴ったら立ち上がるだけで構いません。ストレッチや運動をしなくて も、筋肉への刺激になります。
② 電話や会議は立ったまま行う
オンライン会議や電話は、立ちながら参加してみましょう。会議時間がその まま活動時間になるため、無理なく座位時間を減らせます。
③ 食後10分だけ歩く
立命館大学の研究では、食後すぐの10分間歩行が血糖値の上昇を抑えること が示されています⁶⁾。長時間歩く必要はなく、食後に少し歩くだけで効果が 期待できます。
④ テレビや動画のCM中は立つ
「CMになったら立つ」とあらかじめ決めておくと、意識しなくても立ち上が る回数を増やせます。習慣化しやすい方法のひとつです。
⑤ わざと遠回りをする
遠いトイレを使う、飲み物を取りに立つ、別の階の給湯室に行くなど、小さ な移動を意識的に増やしましょう。歩数の確保だけでなく、座位時間の短縮 にもつながります。
大切なのは、完璧を目指さないことです。5つ全てを実践する必要はありません。まずはひとつを選び、毎日続けることを目標にしてみてください。小さな行動でも、積み重なれば大きな変化につながります

「運動しなければ」と考えるとハードルが高くなりがちです。しかし、「30分に1回立つ」なら今日からでも始められるのではないでしょうか。座りすぎを減らすことは、肥満症治療薬の効果を最大限に引き出すための、シンプルで確実な方法です。まずは1日の中で立ち上がる回数をひとつ増やすことから始めてみませんか。その小さな一歩が、将来の健康につながります。
本内容は一般的な情報であり、体調に不安がある場合は、医師・薬剤師等にご相談ください。
肥満症治療は、食事療法、運動療法、行動療法を基本の柱とし、必要に応じて薬物療法や外科手術が検討されます。個人の健康状態や生活背景に合わせて、段階的かつ包括的に治療が提供される点が特徴です。
Wadden TA, et al. Lifestyle modification for obesity: new developments in diet, nutrition, and pharmacotherapy. Circulation. 2012;125(9):1157-70.
日本肥満学会では、肥満症の減量目標を現体重から3%以上、高度肥満症において5-10%以上にそれぞれ設定しています。
肥満症診療ガイドライン2022 P52
注射には非常に細く短い針を使用するため、多くの方が強い痛みを感じにくい設計になっています。ただし、痛みの感じ方には個人差があります。
Ercan N, et al. Patient Preference and Pain Perception in using Pentype Devices. Diabetes Technol Ther. 2019.
肥満症には体重を減らすための様々な治療があります。肥満症で悩んでいる場合は、病院に相談してみましょう。